11月26日の『産経新聞』のコラム「産経抄」を読んで呆れた。 羽毛田信吾宮内庁長官が首相に「女性宮家」の創設を要請した件に絡んだ一文で、 さしあたり悠仁殿下がおられるから「皇位継承に何の心配もない」 「その後のことはじっくりと衆知を集めれば良い」などと太平楽を並べている。 信じ難い危機感の無さだ。 皇室典範の改正は本来、天皇陛下が、皇族方と信頼出来る顧問らにお諮りになった上で、自らお定めになるのが筋だ。 だが、現在の憲法の下では100パーセント「国会の議決」に委ねることになっている(第2条)。 つまり政治的案件にされてしまったのである。 そのために、奇怪千万なことながら、皇室の基本を定める皇室典範の改正について、 天皇陛下はじめ皇族方は一切、直接の発言が出来ないお立場におかれている。
だが、今のまま事態が推移すれば、内親王・女王方はご結婚と共に皇室を去られて、悠仁殿下がご即位になる頃には、皇族が誰もいない状態になってしまう。 僅かに殿下と、もし結婚されていれば妃殿下と、更にお子様が生まれていればそのお子様だけが、皇室の全メンバーということになる。 悪夢のような事態というべきだ。 だが、今のうちに手を打っておかなければ、そうした事態が確実に訪れる。 悠仁殿下即位後のことは「じっくりと」などと能天気なことを言っていられる場合ではない。 だからこそ、羽毛田長官は「緊急性の高い課題」として、政府の速やかな対応を求めたのである。 「女性宮家」の創設については、以前から渡邉允前侍従長が繰り返し訴えておられる。 天皇陛下が皇室典範の改正について直接、ご発言出来ない制約の下にあられるなか、陛下のお側近くで仕える宮内庁長官と、 10年以上も陛下の側近として仕えてきた前侍従長が、揃って「女性宮家」の創設を求めている事実が何を意味するか、余りにも明白ではないか。 政府も国会議員もマスコミも、異常なまでの鈍感さと言わねばならない。陛下の声に出せないお声が、聞こえないのか。
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